2020年3月20日

沢山の水が橋の下を流れ気が付けば春が開き始めました。
光に暖かさを感じ生命が輝きだす時ですが
冠型のウイルスが蔓延しそれどころではありません。
分断の時代に降ってきたウイルス災禍、外出を控え国境を閉じ
世界経済は停滞し始めています。

不安感からマスク、薬剤が不足し要らぬ争いに発展しています。
不安は人を誤った行動に導きます。本年初頭、米国からの攻撃に対する不安からイランはウクライナの旅客機を誤射してしまいました。他のニューズに消されて大した話題にもなりませんでしたがあってはならない事故でした。過去の戦争開始もその大半が人間の不安感から始まりました。
人の心にある不安感は現実よりも大きな怪物を作ってしまうようです。終末時計は地球滅亡まで後100秒を切りました。

こんな状況下で我々はどの様に生きれば良いのか色々考えてしまいます。不要不急の外出は避ける様にとの政府要請から芸術関連のイベントは中止されていますが、やっぱりアートは人生の必需品ではないのでしょうか?自分の仕事の意味も考えてしまいます。

ローマでは閉じ込められたアパートのバルコンから歌声が聞こえているようです。彼らにとって歌は生きるための必需品のようです。
そんな時ラジオからバッハの平均律クラヴィーアが聞こえてきました。この旋律にはこの星で生きるジョア(喜び)を感じます。天気の良い日に麦畑を走る風の中にいるような穏やかな感じです。

この惑星には大きな災禍もありますがその辛さ悲しみを和ませる美しい物もあります。こんな時こそどうか心を平静に保ち美しいものに親しみ皆でこの窮地をやり過ごしましょう。春の夜空には金星が輝き牛飼い座のアークトゥルス、おとめ座のスピカが春の大曲線を描いています。大宇宙から見れば我々人類もこの惑星に寄生したウイルスなのかもしれません。宿主である星を壊してしまっては素も子もありません。新型コロナとて同じことです。ある程度広がれば共存の道を辿るでしょう。異物を排除するのではなく共存していくやり方、今の我々に必要なことだと思います。

これから水はどのように流れるかは分かりませんが僕は予定された個展に向けて今まで通り制作を続けてまいります。個展の折にはお知らせいたしますので是非いらしてください。

笠井正博