昨秋母を見送り残された父の事や雑事に追われ
此のコメントも更新せずに半年が過ぎてしまいました。
昨年は母だけではなく近しい人が何人か旅立ち
こんな別れも自分が年老いた故と達観していますが
昨今の世の中を眺めているとそれ以上に悲しいことばかりです。
永田町では辻褄合わせの虚言や隠蔽で政治は空転
首相は口先で唱える平和で美しい国とは裏腹に軍備増強に力を入れ 憲法も都合の良いものに変えようとしています。
中東では米国の短絡的な行動で今まで築いてきた平和への道が壊れ ロシア、中国の大国も国家主義的傾向が強く冷戦時代へ戻りそうな気配です。
そんな中で南北朝鮮和解への一歩が踏み出されたのは嬉しいニュースですが
額面通りに喜んでいいのか今後の動きに注目したいところです。
西欧の難民問題、生きる場所を探して彷徨う人々とそれを受け入れる国の苦悩は続き
テロの脅威もまだまだなくなりません。
歳を重ねればそれなりに経験を積み賢くなると思っていましたが
知ることは知らないことが増えることだと知りました。
知ることは何かを知ることではなくて知らないということを知ることなのです。
60年以上も生き母を見送った今頃になって自分の無力さを痛感するばかりです。
自分の身体、国、この惑星、宇宙、もっと知りたい事は沢山ありますが
知れば知るほど謎は広がります。
しかし知る事と共に僕らは感じることも出来ます。
健康であるときには気が付かなかった体の仕組みも
痛みを感じることで肝臓や胃のような器官の存在、機能を知り
世の中の動きが何か変だなと感じたら政治を動かす仕組みや憲法を考え
廻る季節を感じながらこの惑星は自転しながら太陽の周りを旅している事も思い出し
夜空の美しさに酔いながら他の星に住む友人について考える。
感じることが様々な事を分かる切っ掛けを作ってくれます。
そして僕の仕事も感じることから始まります。
母の旅立ち後制作からは少し遠ざかっていましたが
自分の周りの世界はいつも通りに動いて僕を刺激してくれました。
夕焼けに染まる水面の輝き、夜空に光る冬の星座たち、
静かに踊りながら降る雪のリズム、風に乗る花びら・・・・・。
この星で生きる喜びを感じながらまた描き始めました。
仕事量は少し減りましたがまた皆さんに僕の世界を見ていただけると思います。
お時間に余裕がある方、近くを通りかかった際は是非覗いてみてください。
笠井正博