パレードの様に幾つかの台風が通り過ぎ、東京の天には青空が広がっています。 嵐の後は晴れるのが世の常ですが昨今の世界情勢はそのように動いていないようです。 前回コメントを記してから早くも4カ月の時が流れ様々な出来事が起こりました。 フランス・ニースでのテロ、トルコでのクーデター未遂、泥沼化するシリア内戦、 英国のEU離脱、中国の南シナ海での蛮行、北朝鮮のたび重なるミサイル発射、 米国での竜巻、イタリア・アマトリチャ―ナ地震、終わりのない難民大移動・・・。 人的・自然どちらの惨事も簡単に解決のつかない物ばかりです。 我々人類はやはり試されているのでしょうか?
此の美しい水の惑星に生を受けて様々な困難に遭遇しそれを克服しながら いつかは平和な穏やかな場所へと行きつく冒険スペクタクルの様でもありますが 今までの歴史を見てもそのようなファンタジックな展開は望めそうにありません。 アメリカの大統領候補が怒鳴るナショナリズム、世界に広がるポピュリズム、 中国の国際法を無視した国土拡張計画、北朝鮮の亡寂無人な軍事拡大・・・、 人間のエゴイズムだけが前面に出ている昨今の展開です。
フランス革命に影響を与えたヴォルテールの「カンディード」を久しぶりに読みました。 主人公の若者カンディードが憧れの姫を追いながら世界中を旅する話ですが 旅の途中騙されたり、捕えられたり、さまざまな困難に遭遇します。 最後は年老いた彼女と一緒になるのですがそれまでに受けた理不尽な出来事を 全てはこうなる為に必要だったと今までの全てを許すという話です。 この世は全て善から出来ているという彼の「寛容論」が中心に流れていますが 今の混乱した世界を変える何かのヒントになるかもしれません。
5月末に渋谷文化村から始まった僕の新作版画展 名古屋、大阪、前橋、広島などを巡回し無事に終えることが出来ました。 暑い中を各会場までおいで下さった皆さん本当にありがとうございました。 今回は雨の波紋がテーマでしたが皆さんの心に何らかの揺らぎを残せたでしょうか? 今は波紋のモチーフを更に展開しようとデッサンを始めています。 来年7月に東京・銀座養清堂画廊でまた皆さんに見ていただけると思います。
まだ9月だというのに来年のカレンダーが出来ました。 最近の印刷技術の進歩で版画用紙の目まで分かる様なリアルな印刷です。 ご興味のある方は下記のサイトを覗いてみてください。
http://item.rakuten.co.jp/velkommen/br-2017-kasai-cl/
笠井正博