2015年4月27日

先日まで枝だけだった欅に新芽が吹き出しました。
古くから農耕の民にとって此の芽吹きは季節が動く印になっていたようです。
輝く新芽はもう遅霜の心配もなく初夏の準備に入れるというサインです。
こんな風に季節の流れを感じ取りながら
自分達も自然の一部として生きていけば良いのだと思いますが
一昨日のネパール地震のように何の予兆もなくやってくる災禍もあります。

2月に金星と火星が3月には皆既日食で月と太陽が並びました。
太陽系の兄弟惑星が繰り広げる天体ショーとして面白く観測していたのですが
西洋では「星重なり」star-crossedは不運、不幸の象徴のようです。
勿論これが惨事の予兆だとは思いませんが星周りで吉凶を占う事は
東西で古から行われた事です。
デュークエリントンに美しい名曲「star-crossed lovers」がありますが
確か不運な恋人ロメオとジュリエットがテーマだったと思います。

僕の仕事はこんな予期せぬ不運も含めて周りに起こる全ての事に多情多感に反応し
僕の言葉を使い僕にとってより自然な形に再構成していくことだと思っています。
つまり描くことで僕がこの惑星に存在している事を確かめている気がするのです。
そして出来上がった物に何人かの方が共感してくださればそれは客観的な価値を持つ
絵画となると思います。

晴れた日、文頭に記した欅の下には
沢山の全音符のような楕円形の木漏れ日が撒かれています。
風が通ると光は揺れながら煌めきます。
そんな光を二年前から描いています。
6月に広島、7月に銀座と大阪で発表の予定ですので
お時間がございましたらご覧いただきたいと思います。

笠井正博