2013年6月21日

友人との食事の帰り道、夜空に浮かぶスーパー満月を愛でながら夏至の話をしました。
妖精パックが悪戯するシェクスピアの話、ストンヘッジの石組、アステカのピラミッド・・
全て夏至の日の不思議が主題です。地球がどの様な惑星かも知らなかった古人も宇宙の中にいる自分を感じていたのでしょう。
科学・物理が発達した現代生活でも宇宙との繋がりを感じる場面は多々あります。
発芽した朝顔の双葉に乗った小さな砂粒に宇宙を感じたり
欅の葉間から洩れる陽光の煌めきに天からの伝言を聞いたり
夜空の星の瞬きに時空の広がりを感じたり・・・。
日常の生活で体験する喜怒哀楽とは少し違った心の部分が震える喜びです。
こんな時、詩や音楽、絵画が生まれます。

伝達手段としての言葉が生まれた時それを発するには必ず相手が必要でした。
しかし相手がいない時でも頭に浮かぶ言葉を並べる事もあったでしょう。
それが詩となり唄となり祈りにもなったと思います。
二年前の災禍の後、自然の中での人間の無力さを感じ
その中で出来ることと言えばこの森羅万象を司る何かに祈ることぐらいだと思いました。
それが神なのか仏なのか分かりませんが・・・。

福島原発は未だに放射性セシウムを撒き続け東京近郊河川の鰻から多量の放射能が検出されました。
政府の管制なのかこの様な報道は日に日に紙面の角に小さくなりますが
事態は深刻です。いつかその粒が体内細胞を癌化させる時がくるでしょう。
しかしこの国は地球環境の事などよりも経済発展が大事
自国の発展のために戦争も辞さない美しい日本を目指しているようです。
原発の事にしても領土争いにしても一部市民は行動を起こしていますが
大きな流れを変えることは難しいようです。
僕にもそんな流れを変える力はありませんが
この星で宇宙との繋がりを感じるような詩情を皆さんに届ける事が出来れば
ほんの少しでも事態は好転するかなと思いながら今日も画面に向かっています。
この夏、下記の画廊で「祈り」をテーマにした作品の発表をします。
お時間があればご覧いただきたいと思います。良い夏をお過ごしください。

笠井正博