2012年6月18日

雨の季節、薄光の中でバジル、ルッコラ、レモンバームの種を蒔く。 小さく堅いカプセルに閉じ込められた命が適温の水分を含む事によって 天からの指示を受信し動きだす。無作為に蒔かれた種は場所を構わず勝手に芽を出す。 効率を考えればここで間引きだろうが僕の小さな畑はこのまま。 天から蒔かれたままの数種の種が自然淘汰され育ったハーブの香りは強い。

産業革命以後、効率重視の資本主義体制が発展し僅か200年程の間にこの星は大きく姿を変えた。この様な社会には言われたとおりに動く画一的な人間、つまりは兵隊が必要になり入学式には入隊式のように国家を唄わねばならなくなる。 そして今、国が栄え経済が上向く事が何よりも重要な日本政府は目先の利益のために安全を削る決断をしようとしている。昨春のあの記憶は何処に消えたのだろう!

人生でも仕事でも,勿論芸術活動においても何が一番大事かをしっかり考える事は大切だ。 もし彼らの選択が取り返しのつかない程地球の環境を変えてしまったら・・・・・・
こんな心配を抱いている同胞は少なくないと思う。無能な政府の舵取りを民意で変えることは出来ないものだろうか? 北アフリカで芽生えたアラブの春は東へ広がりシリアでは今も内戦が続いている。 戦乱で人が傷つくことは望まないが日本の民もたまには「憤る」ことが必要だと思う。

昨春以降「祈り」というテーマで作品を描いている。地球の上に生まれ生かされている僕らはこの星の摂理に従って生きていかなければならない。勿論災害に備えることは大切だが災いが起こらぬように祈る気持ちは種を発芽させたような天の力に届くと信じている。

こんな思いで制作した作品、今夏下記の会場で発表が決まっている。 お時間が許す方には是非見ていただきたいと思う。

笠井正博