2011年6月30日

この星の上に生きていると様々な出来事に遭遇しますが
今春の大惨事は未だに現実のものと受け入れがたく
百日を過ぎようとする今も原発禍に心穏やかではありません。
災害後、想定外という言葉が飛び交いましたが
想定通りの人生や歴史などあるわけがなく
人間が制御出来ない物を使う事が無謀なのだと思います。

こんな災いの後も季節は動いて梔子の甘い香りが漂い
夏の日差しを感じたプランターのバジルやレモンバーム、朝顔、糸瓜、瓢箪が
競うように成長しています。何が起きようとも何時もどおり、学ばなくてはと思います。
こんな植物同様僕らもこの星に生れ生かされているということを
今回の災いから再認識させられました。
我々人間も流れていく時の中でただ漂っているだけの存在、
せめて沈まぬように静かに生きていけば良いのだと思います。

あの後自分には何が出来るか色々考え行動しましたが
結論は自分の仕事を淡々とこなしていく事だと分かりました。
僕の仕事は無人島で手紙をビンにつめて海に流しているのに似ています。
不特定多数の誰かの目に留まり感じてもらえればメッセージは完結するのですが
駄目なときもあります。そして特定の場合を除いて結果は僕には分かりません。
体裁よく言えば社会に対してメッセージを送っていると言えるのでしょうが
そんなに大層な事ではなく、知らない誰かが感じてくれれば嬉しく思うだけです。

そんな仕事を今夏も銀座・養清堂、広島・ギャラリーたむら、大阪・プチフォルム、
吉祥寺・エイシーズギャラリーなどで発表いたします。
お時間がございましたらご覧ください。

笠井正博