2005年10月11日

6月の韓国ソウルの展覧会を皮切りに僕の夏は始まり、忙しさに流されて今日まできてしまった。このホームページのコメントも書き換えないまま気がつけば10月、外には金木犀の香りまでしている。時々覗いてくれる方がいたらごめんなさい。PCも新しくなったのでこれからは1ヶ月に一回ぐらいは書き換えるようにしたいと思っております。

さて、一昨日パキスタンで大きな地震があり2万人以上の方が犠牲になったようだ。ここのところ天災、人災が頻繁に起きている。巷では地球がおかしくなっているからだと囁かれている。とんでもない話だ。おかしくなっているのは我々人間で地球は悪くない。 そろそろ鯨や鳥に主導権を譲ったら、今からでもこの星は美しく青い惑星に戻るのではないだろうか。

今回の展覧会まで森をテーマに仕事を続けてきた。山形のぶな林を見たのがきっかけだったが、平面の中に空間を描く良い勉強ができたと思っている。見てくださった方はご存知だと思うが、垂直線の構成がしばらく続き少し堅苦しくなってきた。このテーマを止めてしまうわけではないが、少し休憩しようと思った。そして僕の今興味のある好きなものを鳥が歌を唄うように自然に描いてみようと思った。
それは「香り」。嗅覚は人間の五感の中で最も不確かであまり生命活動に影響のない感覚。 でも脳に残る記憶としては一番強いという不思議なもの。僕の人生に嬉しい偶然としてタンポポの綿毛のように舞い降りてきた変化もあるのだけれど、この不確かな「香り」を描きたいと考えて今描きだしている。始めに香りの基本である五香「伽羅」「麝香」「乳香」 「白檀」「丁子」を描きたいと思う。形も色も無い不確かなものに形と色を与えようと思う。
上手くいくかどうかはお楽しみ。半年後ぐらいに少しさわりをお見せできるかも知れません。再来年2007年7月に銀座の養清堂画廊が決まっているので、そのときに東京近郊の方にはお見せできると思います。お見せ出来るような作品ができたらこのページにもアップしますので見てください。そしてご感想などあればお教えください。

高名な女性作家がTVで「人は人を愛するために生まれてきたのよ!」と高い声で叫んでいましたが、本当にその通り。ただ愛を感じたときにそれを歌に変えたり、画像にしたり、形を変えて次に伝えていくのが僕らの仕事だと思っています。みなさんもまたしっかりと受け止めてください。

笠井 正博