2005年7月1日

ソウルでの個展

6月1日からソウルのギャラリー ラ・メールで展覧会をしてきました。
ソウルの中心地で王宮の東側に位置するインサドンと言う旧市街にある画廊です。
僕の使用した部屋は100坪以上ある広い場所で、海の作品と森の作品合わせて40点ほどが並びました。韓国の人達は皆親切で丁寧に作品を観てくれました。
特に若い世代の観客が多く彼らとのお喋りは楽しいものでした。儒教の教えが浸透しているためか目上の人に対する礼儀が美しく浸透していて日本では味わえないよい気持ちになりました。僕がハングルをまったく話せないので英語での会話になりましたが真剣によく聞いてくれました。考えてみれば日本人がこの様に個展が出来るようになったのはつい最近の事なのです。年配の方は思い出す様に日本語をしゃべられる方もいました。
悲しい歴史の結果なのですがそんな方達も穏やかに僕の絵を楽しんでくれました。
最近日韓問題が色々騒がれていますが僕等の世界ではとても上手くいっているように思います。元々海外文化はシルクロードから中国、朝鮮半島を経て日本に入って来ました。 韓国は色々な意味で日本文化の元であり、師であったのです。
美術館を訪れ絵画や工芸を見ても感覚的にとても近い物を感じました。
近い物といえば食の世界もずいぶん類似点を発見しました。渡韓するまでは焼肉・キムチぐらいしか思いつきませんでしたが奥が深いのです韓国料理は・・・。
精進料理の原型のような物は小鉢が30近く並ぶ素晴らしい物で自家製のマッコリとの調和は素晴らしい物でした。僅かに発泡している白濁したマッコリは日本の甘酒に似ていて飲みやすく酔い方も気持ちのよいものですっかり気に入ってしまいました。
料理の方はキンピラごぼうや山菜の和え物、豆腐、田楽,春雨の酢の物、大豆のグルテンで作った肉もどきなどなど日本の物と似た物がたくさんありました。プルコギなどの焼肉系の料理を頼んでも少なくとも7、8種類の小鉢が自動的に付いてきてそれはいくら食べてもお変わり自由です。小鉢は野菜が中心でエゴマの葉やサンチュはおなじみですが万願寺唐辛子のようなピーマンを生で食したり、水キムチ、赤みその味噌汁、ニンニク、タクワンのような漬物、山菜のナムルなどサイドディッシュがとても充実していました。麺類も種類が豊富でアサリいっぱいのあさりうどん、豆乳のスープ冷麺などが美味しくて滞在中に時々食べました。屋台の料理も美味しいものがいっぱいで書ききれません。中国の古い故事に「愚かな物は食について語り,賢者は旅について語る」と言うのがありますが・・・、確かにその通りです。兎に角一番近い外国はやはりとても親しみやすいという事を確認しました。さっそくあちらでの印象を絵にし始めています。これから始まる夏の個展で少しお見せ出来るかもしれません。お時間がある方は是非観に来てください。では暑さの中皆さんお元気でお過ごしください。

笠井 正博