昨年末から今年にかけて北の空にほうき星が見えている。
2004年夏にマック・ホルツさんが発見した彗星でその周期は億年単位だそうだ。
という事は前回地球に接近したとき目にしたのは我々人類の祖先だとしてもホモサピエンスではなかっただろう。そして次に見る事の出来るこの星の多分誰かも人類ではないだろう。
森を描き始めて5年近くがたつ。森の持つ不思議な力にひかれてその気配を何とか画面に描けないかと始めた仕事である。始めは具体的な樹を描かずに表現したいと色々試みた。しかし描き進めるうちに樹のような縦のラインが必要になり垂直線の構成のような作品になってきた。
僕が平面で仕事をする一つの理由は2次元にいかに3次元を描くかと言うテーマがあるからだ。垂直線の構成で深い森の中の空気を美しく描けたらと今日もアトリエで戦っているがなかなか簡単にはいかない。
7月の養清堂の個展にはそんな仕事の経過を観ていただきたい。
そして感じる所があれば是非お話をお聞かせいただきたいと思う。
我々生き物の元である物質は遠く銀河の果てにあったと考えられている。
何億年も前にそれが彗星に乗ってきてこの星に蒔かれたそうだ。そこから地球上生物の歴史は始まるのである。かつてほうき星の出現は不吉なことの前兆と言われていたそうだが確かに地球にとっては良くない前兆だったかも知れない。
今宵も北の空には緑色に光るマックホルツ彗星が飛んでいる。これから人類はどの様になるのだろうか。今の世界情勢を見ていると確かに心配である・・・。
少しずつ光を弱めながら4月頃までは北の空に見えているので時々夜空を見上げてみては如何だろうか。
笠井 正博